海に囲まれ入り組んだ海岸線と大小多くの島々がある長崎は、たくさんの灯台が、デンリュウのしっぽのように「うみのみちしるべ」として船乗りたちを導いてきました。
ばしょ 五島市玉之浦町玉之浦
たかさ 約16m
断崖絶壁の上に建ち、東シナ海をはるかに望める白亜の灯台。福江島の最西端に位置する大瀬埼灯台は、九州本土で最も遅い時間に夕陽が沈む場所です。海に突き出た断崖絶壁の上に建つ白い灯台は、青い海とのコントラストが美しく、「日本の灯台50選」に選ばれています。また、3700カンデラ光度で、およそ22km先まで照らし、近海を航行する船の道しるべとなっています。
大瀬埼灯台周辺には「灯台を見るための展望所」があり、晴れた日には男女群島も一望できます。展望台から望む白亜の灯台と東シナ海に沈む夕陽は言葉にできないほどの美しさ。
駐車場から灯台までは遊歩道が整備されていますが、行きは下り坂のため約20分、帰りは上り坂になるため約40分かかります。それでも、歩く価値ありの絶景が待っています。
ばしょ 南松浦郡新上五島町津和崎郷
たかさ 約9m
緑の中に純白の建物が一際鮮やかに映える津和崎灯台。
冬は自生する天然のヤブツバキの赤花が、また春には植樹された桜の花がそれぞれの彩りを添え、眼前に広がる群青の海上に、浮かんで見える野崎、小値賀、宇久、平戸の島々の広がりは、波静かなときなどまるで箱庭でも見るような幻想に誘われます。
津和崎灯台は、昭和35~36年頃はじまり、九州商船の汽船が津和崎沖に着けて、ダンベ船(はしけ)でお客さんの乗り降りや荷物の積み降ろしをしていました。昭和37年(1962年)3月27日に初点灯され、新上五島町最北端にあり、海抜100mの山頂に位置し、夜になると光を放ち、西海を航海する船舶の安全を願う重要な使命を果たしています。
ばしょ 壱岐市郷ノ浦町初山東触
たかさ 約10m
壱岐島の最南端にある岬「海豚鼻」に立つ小さな白い灯台。「海豚鼻」とは、地図上で見るとその岬がイルカの鼻先のような形をしていることに由来します。岬の先端は草原になっており、大海原を望むことができ、遠くの霞のなかに、平戸島や大島、九州本土を見ることができます。
ばしょ 対馬市厳原町豆酘
たかさ 約19m
対馬の南端に位置する豆酘崎は、対馬海峡と朝鮮海峡を分かつナイフのように突き出した岬で、先端部まで遊歩道が整備されています。先端部からは、海蝕による断崖、海と空をつなぐ180度の水平線、古来より海の難所として知られた潮流、海に浮かぶ灯台など、見る者の心を解放してくれる雄大な光景が広がります。
この海に浮かぶ灯台は、旧豆酘埼灯台と呼ばれ、島内にはその後建てられた豆酘埼灯台があります。旧豆酘埼灯台は、豆酘崎の沖合約1.2メートルにある岩礁群のほぼ最先端のミョー瀬上に建設されました。無筋コンクリート造りで、海面から頂部まで23メートルの高さがあり、威容を誇っていましたが、保守管理を行うのに非常に危険がともなうことや、光力を増大する要望があったことから、昭和62年3月に現在の豆酘崎に新たに設置され、このミョー瀬上の灯塔は、豆酘埼灯台から照射灯の副標として照らされています。